サラリーマン時代は会社の社会保険(健康保険・厚生年金)に入っているケースがほとんどかと思います。
会社を退職し、個人事業主として起業した場合、国民年金と国民健康保険に加入することになりますが、国民健康保険については以下のような選択肢があることはご存知でしょうか?
・各市町村の国民健康保険
・任意継続被保険者
・業種別の国民健康保険組合
今回は個人事業主の健康保険についてご紹介いたします。
国民健康保険について
まず一番メジャーな国民健康保険について解説します。
細かい解説はここでは省略しますが、サラリーマン時代の社会保険との大きな違いは以下の3点です。
①扶養という概念がなく、配偶者や家族が増えるにつれて、保険料が上がる
②世帯主だけでなく世帯全体の収入で保険料が決定される
③社会保険は月収(標準報酬月額)をベースに保険料が決まるが、国民健康保険は前年の年収をベースに保険料が決定される
ですので、前年の年収が高いと、起業して収入が激減したとしても、保険料が非常に高いといった現象が起きたりします。
(国民健康保険の減免措置が使える場合もありますので、お住まいの各市町村にお問い合わせ下さい。)
国民健康保険の保険料は各市町村の窓口に行けば教えてくれますが、だいたいの保険料は以下のサイトで概算することが可能です。
国民健康保険計算機:http://www.kokuho-keisan.com/
任意継続被保険者について
退職前の会社の健康保険に、退職後も最長2年間加入できる制度があります。
任意継続被保険者のメリットは①保険料の上限が比較的安く済む点、②配偶者や家族の扶養が引き続き使える点にあります。
①は、例えば大阪府の協会けんぽの場合、社会保険料の算定基礎となる「標準報酬月額」の上限が280,000円に設定されていますので、退職時の月収がどれだけ高くても、健康保険料の上限は毎月28,364円(40歳未満の方の場合、平成29年3月現在)となります。
②は、勤務時代同様、扶養人数が増えても社会保険料は変わりません。
注意点としては、退職の翌日から20日以内に加入の手続きをする必要があり、それ以降は加入の権利を失ってしまいます。
国民健康保険組合について
国民健康保険組合とは、同業種の団体が運営する自営業者のための健康保険です。
飲食業や建設業、医師の健康保険組合などが有名です。
(ちなみに税理士も税理士国保というものがあります。)
特徴としては、比較的保険料が安い、年収にかかわらず定額の保険料を採用している組合が多い点です。
例えば、大阪府の美容師さんであれば「大阪府整容国民健康保険組合」に加入することができ、
保険料は、店主:13,500円、家族一人につき6,500円(平成29年3月現在)となっています。
大阪府整容国民健康保険組合:http://www.seiyo-kokuho.com/hokenryou/
また後々、個人事業主から法人化した場合に引き続き国民健康保険組合に加入継続できることもメリットの一つです。
(※法人化後から健康保険組合に加入することはできませんので、個人事業主時代から加入する必要がある点にご注意下さい。)
まとめ
上記3つの保険料を比較し、最安値になる保険に入るといいでしょう。
また、収入や家族構成によって保険料も変わってきますので、毎年見直しをされることをおすすめします。
起業してすぐの頃はキャッシュアウトが続き、固定費を削減するという観点が非常に重要になります。
起業直後の個人事業主にとっては、税金対策も重要ですが、特に健康保険をはじめとする社会保険料対策がより重要になります。
上記記事を参考にしていただいて、うまく健康保険料を削減していただければと思います。
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