起業する時は何かとコストがかさむものです。特に起業当初は資金が限られているため、なるべく広告宣伝等の運転資金に多く回せるように、あまりコストをかけずに開業したいところです。
今回は私自身の実体験も交えながら、低コストで起業する方法についてご紹介いたします。
①オフィス
まず大きなコストになるのが、オフィスや店舗です。
オフィスの形態別のメリット・デメリットを以下にまとめました。
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メリット
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デメリット
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おすすめ度 |
自宅兼事務所
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・費用がかからない
・移動時間がかからない
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・来客や従業員の採用が難しい
・仕事に集中できないことも
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○ |
バーチャル
オフィス
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・格安で都心の住所が手に入る
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・銀行口座開設が難しいことも
・創業融資なども確実に難しくなる
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× |
シェアオフィス
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・比較的安い賃料で入居可能
・入居人同士の情報交換ができることも
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・データや資料などセキュリティ上不安
・他の入居者の雑音が気になる可能性
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△ |
事務所可
マンション
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・保証金が事務所ビルに比べて安い
・事務所としての体裁が最低限整う
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・従業員の採用が若干難しい
・規模拡大していくと手狭になってくる
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○ |
事務所用ビル |
・顧客からすると安心感がある
・従業員の採用も問題ない
・業務と生活の区切りがつく
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・とにかくコストがかかる
(敷金・保証金・電気代等)
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○ |
自宅兼事務所は費用がかからないのが最大のメリットです。来客がほとんどないケースや、ネット販売などをはじめる場合等におすすめです。
バーチャルオフィスは信用面が低いため、あまりおすすめはできません。
事務所可マンションは保証金が事務所ビルに比べて安いのがメリットです。特に東京など都心のオフィスビルは保証金が非常に高いケースが多く、初期費用を抑えるには事務所可マンションはおすすめです。
一方、来店型店舗(飲食店や美容院など)の場合、周辺の競合やマーケットを考慮に入れながら、立地を決めていきます。
その際、リフォームが不要な居抜き物件を選ぶことで初期費用を大幅に抑えることが出来ます。
私の場合ですと、大阪は保証金が少ない事務所ビルも多いため、事務所用ビルで開業することができました。その際、利用させていただいたのは以下のサイトです。
オフィスタ:http://office-st.com/
サイトで間取りを眺めていても、良い悪いが判断できないため、問い合わせをしてプロに聞くのが一番だと思います。私も担当の方に色々物件を紹介してもらう中で、どういう観点で物件を選ぶべきか教えて頂き、非常に参考になりました。
②中古備品
デスクやキャビネット、パーティションなどのオフィス家具は中古のものを選ぶと新品よりかなり安くなります。大半の中古は新品の半額以下で、モノによっては新品の1/10くらいの価格で買えることもあります。(中古のオフィス家具は事業整理による売却などで供給量が多く、安くなっております。新品はどちらかというと資金力のある大企業用ともいえます。)
私は以下のサイトを利用しました。
オフィスバスターズ:https://www.officebusters.com/
③複合機、プリンタ
大型の業務用リース機を導入すると、月々数万円でも合計にすると100万円単位でかかってきます。
紙をあまり使わないのであれば、小さな複合機でも足りるかと思います。
スキャン機能の付いている小型レーザー複合機でしたら、Amazonなどで3万円~10万円くらいで買うことができます。
ほとんど使わないのであれば、コンビニのコピー機を利用するのも手です。
④固定電話
固定電話を導入する方は多いかと思いますが、ひとり社長やフリーランスの場合、外に出ていることも多く、携帯への転送が必要になります。この転送にかかる費用がバカになりません。(仕事の転送でしたらまだ良いものの、特に営業電話の転送にも転送料がかかってしまいます。)
そこでおすすめなのが、050plusです。050plusですとスマホで着信可能で、wifi環境さえあれば海外でも着信することが可能です。音声も比較的クリアで、月額300円で利用することができます。
一般的な固定電話を引く場合は電話料が安いIP電話がおすすめです。
NTTであれば、ひかり電話エースが迷惑電話対策やナンバーディスプレイにも対応しており、おすすめです。
私も当初は06からはじまる固定電話を引いていましたが、050plusに切り替えました。
当事務所は代表が直接対応することをモットーにしており、スタッフや事務員に電話番をさせると、お客様にお手間をかけさせてしまうと同時に、スタッフの仕事が一時的にも止まってしまうというデメリットもあるため、思い切って050plusに切り替え、全ての電話を代表である私が取る体制としております。
⑤FAX
FAXはeFaxがおすすめです。メールで送受信するため、出先でも届いたFAXを確認することができ、また紙の節約にもなります。
⑥法人印鑑
こだわりがなければ、以下のはんこ大王というサイトがおすすめです。
起業3本セット(実印、銀行印、角印)が4,800円と格安です。
⑦名刺
以下のサイトが値段も安くデザインから依頼できるのでおすすめです。
また、用紙サンプルを無料で送ってもらうことも可能で、紙の種類を指定することもできます。
名刺の達人:http://www.meishinotatsujin.com/
私の場合は、独立直後に上記のサイトで名刺を作ってから、その後デザインを少しこだわりたいと思い、下記のランサーズでデザインの発注を行いました。
コンペ形式でデザインを募ることもできますが、私は実績のある方に直接発注しました。
名刺だけでなく、DMやチラシなどのデザインもランサーズで発注できます。
デザインデータを納品してもらい、紙にもこだわるため、下記のような印刷会社さんを利用しました。
私は「マットコート 220kg+マットPP」が高級感のある紙で好みです。
メガプリント:https://www.megaprint.jp/
⑧銀行口座(ネットバンキング)
メガバンクの法人口座のネットバンキングは利用料として月額2000円ぐらいかかります。
そこでおすすめなのが、月額基本料が無料のゆうちょ銀行です。
振込手数料もメガバンクに比べると安く、ATMも多くあるため、非常に便利です。
また、ネット銀行も月額基本料無料、振込手数料も安いというメリットがありますが、ATMから引き出すときに手数料がかかったり、税金(ペイジー)が払えないなどのデメリットがあるため、ゆうちょ銀行との併用をおすすめいたします。私はネット銀行の口座として住信SBIネット銀行の口座を持っています。
また、将来の融資を考慮にいれると、地域金融機関の口座を一つくらいは持っておいてもいいかと思います。
⑨ホームページ、Google広告
どのような事業であれ、ホームページは持つことをおすすめいたします。
ホームページからの集客を目的としない場合でも、大きな名刺代わりになります。また、人材採用にもプラスになります。
ただし、はじめから大きな金額をかけて立派なサイトを作る必要はありません。お金をかけたからと言って、良いサイトが出来上がるとは限らないからです。
デザインよりも書いてある内容のほうが重要です。業者さん任せにせず、書く内容はできる限り自分で頭を絞って考えてみてください。
(デザインはプロに任せるべきです。自分で全てやろうとすると失敗します。)
スマホ利用者も多くなっているため、HPはスマホ対応することをおすすめいたします。
作ったホームページは作って完成、ではなく、定期的にチェックし内容を更新しましょう。
(作った時点での完成度は50%程度です。内容の更新やブログの更新をしていくことで完成度が上がり、自らの色が出てきます。)
また、広告宣伝もお金をかけたからといって、すぐに売上につながるものでもありません。
現在はSNSやブログなど無料で発信できるツールがたくさんありますので、ぜひ利用してみてください。
Google広告や、Indeed(採用)も低コストで実施できるのでおすすめです。
Google広告は使いこなすにはやや難易度が上がりますが、独学も可能だと思います。私自身も開業当初は以下のような書籍で勉強しました。(内容が少し古いため、別の本でもいいと思います。)
⑩社会保険関係
会社を退職すると、会社の社会保険から抜け、自身で国民健康保険等に入る必要が出てきます。
その金額に驚くことも多いかと思います。前年年収が大きかった方、家族の多い方は特に金額が高くなります。
自身で設立した会社で社会保険に掛けるまでは、退職前の社会保険を継続する「任意継続」がおすすめです。
ただし、年収の少なかった方など場合によっては、国民健康保険の方が有利になる場合もあります。
自身の国民健康保険料は市役所で計算してもらうか、概算であれば下記のようなサイトで計算することも可能ですので、比較検討してみてください。
国民健康保険計算機:http://www.kokuho-keisan.com/
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