お金は個人・法人どちらに残すべきか?役員報酬の決め方と判断材料

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経営コラム
MANAGEMENT COLUMN

お金は個人・法人どちらに残すべきか?役員報酬の決め方と判断材料

役員報酬はどのようにして決められているでしょうか?

税金面だけでなく、会社の経営方針やご自身のライフスタイル・家族構成なども考慮する必要があり、最適な答えを提示するのは非常に難しいです。

ここでは役員報酬の最適額を提示するのではなく、役員報酬をご自身で決める際の「判断材料」について考えてみたいと思います。

 

まずは3つの税率等について概要だけ把握しておく

役員報酬を決定するにあたって、まずは基礎知識として知っておいてもらいたい3つの税率等があります。

(※下記3つの表は平成29年7月現在の数字です。)

1.給与所得控除

給与等の収入金額
給与所得控除額
1,800,000円以下
収入金額×40%(最低65万円)
1,800,000円超    3,600,000円以下
収入金額×30%+180,000円
3,600,000円超    6,600,000円以下
収入金額×20%+540,000円
6,600,000円超    10,000,000円以下
収入金額×10%+1,200,000円
10,000,000円超
2,200,000円(上限)

給与所得控除についての詳細な説明はここでは割愛しますが、抑えるべきポイントは収入金額(役員報酬)が1,000万円で控除額が上限に達するということです。

※2020年追記:限度額は1000万円→850万円となっております。

 

2.所得税率

課税所得
所得税率
所得税率+住民税率
195万円以下
 5%
15%
195万円超    330万円以下  10%
 20%
330万円超    695万円以下
 20%
 30%
695万円超    900万円以下
 23%
33%
900万円超    1,800万円以下
 33%
43%
1,800万円超   4,000万円以下
 40%
50%
4,000万円超
 45%
55%

ここでは税率のみ表示しております。(控除額は表示していません。住民税は所得に関わらず一律10%です。)

課税所得とはざっくりいうと(役員報酬-給与所得控除-基礎控除等の所得控除)で算定される金額です。
(※収入が役員報酬のみの場合)

ここで抑えるべきポイントは課税所得900万円を超えてくると、所得税率+住民税率が43%まで一気に上がることです。

 

3.法人実効税率

所得金額 実効税率
400万円以下 21.42%
400万円~800万円 23.20%
800万円超 33.80%

(大阪市の場合)

ここで抑えるべきポイントは利益800万円までは税率が低いということです。

 

簡単にシミュレーション

<前提条件>
①役員報酬・社会保険控除前利益を2,000万円とする。
②所得控除は社会保険料控除と基礎控除(38万円)のみ考慮する。
(住民税の基礎控除も計算便宜上38万円とする。配偶者や扶養家族はなしとする。)
③対象者は40歳未満で、介護保険対象外とする。
④社会保険料の上限値も考慮する。
⑤復興所得税や住民税均等割は無視する。
⑥税率・社会保険料率は平成29年7月現在のものを適用。
(法人税率は表面税率ではなく実効税率を適用)
※概算シミュレーションのため細かい誤差は生じる可能性はあります。

(※文字が小さいためクリックしてご覧下さい。)

 

<シミュレーション結果の要約>

・役員報酬100万円~1,200万円くらいまでは負担率(表右端の数字)はあまり変わらない。
(役員報酬1200万円までは課税所得900万円(税率23%ゾーン)で収まるため、そこまで税負担は増えない。)

・役員報酬1300万円以上は、所得税33%+住民税10%=43%ゾーンに入るため、個人手取りもあまり増えず、全体としての負担率も増える。

・全体としての負担額が最小となるのは役員報酬400万円くらい

これらより、税負担を少なくするのであれば役員報酬は100万円~1200万円の間で決めていくのが基本方針と考えます。

(※児童手当の所得制限も考慮する場合、800万円から900万円までに抑えておいた方が良いでしょう。)

 

【参考】役員報酬・社会保険控除前利益が1,000万円のパターンの画像も貼っておきます。

 

 

具体的に金額を決めるにあたっての注意点

①赤字になるくらいの役員報酬は取らない。結果として赤字になった場合は翌期で調整する。

②逆に役員報酬を下げすぎると、生活費が拠出できずに役員貸付金が発生してしまう。役員貸付金は銀行からの印象が悪いため、下げ過ぎには注意。

③法人税率は低下傾向にある。(特に利益800万円超の部分)

④資金自由度は法人よりも個人の方が高い。
 法人:事業資金、社宅、車、交際費などに限定されます。
 個人:教育費や生活費等、自由に使うことが出来ます。

⑤新設法人は会社生き残りのためになるべく法人にお金を残した方がいい。

⑥税金のことを考えなくてもいいほど儲かっていれば、自由に決めれば良い。

 

経営者思考をタイプ別に分類

役員報酬は税金負担だけを考えればいいわけではなく、社長の価値観や生活環境なども考慮に入れていく必要があります。
そこで、経営者思考をタイプ別に分けてみましたので、どのタイプに一番近いか当てはめてみて下さい。

経営者としての思考
タイプ
どんどん事業拡大していきたい
M&Aや上場まで狙っていきたい
目の前の税金負担よりもとにかく融資を受けて拡大したい
売上の波が激しい商売
運転資金が必要な商売(卸売・小売、不動産投資等)
新設法人
Aタイプ
(法人優先型)
事業拡大は考えておらず、小さく運営していきたい
運転資金(仕入・人件費)がほとんどいらない商売
(個人の特殊能力に依存する商売など)
後の世代に事業承継を考えておらず、一代限りで廃業予定
生活費が多い
Bタイプ
(個人優先型)
自分のペースでゆっくり事業拡大していきたい
税金負担をなるべく最適化ないし最小化したい
法人と個人でバランスを取りながら蓄財していきたい
Cタイプ
(バランス型)

 

Aタイプ:法人優先型

・まずは法人の資金繰りを安定させ、融資も受けられる体制を作るのがベストですので、役員報酬は必要な分だけ取って(概ね1000万円くらいまで)、あとは法人にお金を残したほうがいいと言えます。

・ただし、現時点でかなり儲かっているのであれば、役員報酬は自由に決めたら良いでしょう。

 

Bタイプ:個人優先型

・法人にお金を残しても使いみちがあまりないため、法人に800万円程度まで利益が出るようにして、あとは役員報酬として個人に残す形が良いでしょう。

・法人にも少しずつ利益を残し、引退時に退職金として支給すると、トータルとして節税になります。

 

Cタイプ:バランス型

・生活費がそこまでかからないのであれば、ある程度役員報酬を取り、あとは法人にお金を残す形が良いでしょう。(課税所得を900万円におさえるため、役員報酬は1200万円くらいで抑えておきます。)

・法人に残るキャッシュは事業拡大、退職金、不動産購入、万が一のための役員報酬・配当(社長が倒れたときのセーフティネット)などに使います。

 

まとめ

少しマニアックな内容になってしまい、すぐには中々理解しづらい点もあるかもしれません。

しかし役員報酬の設定という難しい問いについて、なるべくご自身で判断できるように説明してみました。

少しでも社長の価値観に近い答えが出せれば、税理士としては「正解」なのではないかと思っております。


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河野 岳友
沖縄・大阪の融資・事業再生に力を入れている税理士です。日本政策金融公庫の創業融資には特に力を入れています。会計・税務だけでなく、資金調達や経営改善により「会社にお金が残る仕組みづくり」をお手伝いしております。また、クラウド会計やITを積極活用して、経理の効率化を推進しています。
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